とある建築家の著作を拝見しておりましたら
「家は帰る場所、美術館などは行く場所」
「楽しい時ばかりでなく悲しかったり落ち込んでいる時も帰るのが家で、美術館などは気持ちによっては行かないという選択肢もある」
というようなニュアンスの表現がありました。
最近よく考えていることのひとつに『スタンダードな家ってどんなかな?』というものがあります。
何々風ということでなく、お施主様らしさが表現され盛り込まれた上で、時間の淘汰を受けて安定した実績も充分ある材料で作られており、光熱費が節約でき、メンテナンスが楽な家でありますこと。
家づくりをお施主様毎のスタイルでなくファッション的に考えてしまいますと(確かにジャンル分けされておりますとお施主様に取っては分かり易いし、建築を受注する側も楽ではあるという側面はあります)新築当時は綺麗で見栄えが良くても、時間の経過とともに陳腐化し住まい手が暮らしに喜びを見出すことが難しく、ややもするとオーナー様が飽きを感じたり快適だと感じられないような家では困ります。
家は一度建ててしますと服を着替えるように交換することも出来ないし、形を変えることも容易ではありません。
だからこそ練った家の計画案であるべきだし、お客様毎のスタイルにまで深く落とし込んだものでないと新築から10年度20年後経過したときにお施主様の家に対する気持ちも家本体も見かねるような無残な事になるのかもしれません。
そう提案を受けた家の計画案の姿形が格好良いと盛り上がってしまいそのまま建ててしまいますと後悔が残るかもしれません。
建築は今と言う時間軸だけでなく、何十年もずっとあるということ忘れがちですがとても大切な事です。
楽しい時も悲しい時もそれを受け止め、一緒に成長していくような家でありますこと。
変に奇をてらうということをせず真っ直ぐなストレートな大文字の家づくり、きっと存在すると思います。
服や物が長く使っている中で馴染んできて(例えばいつも着ている洗い立てのコットンのシャツに袖を通すようなという言い方などは感覚的には近いのかもしれません)、あなたにとって唯一無二の心地良さと距離感を提供してくれるような、そんな家が僕が現段階でイメージしておりますスタンダードな家です。
三重県で注文住宅を建てるリビングモチーフキキです。