僕も大好きな牛丼に代表されるような飲食チェーン店の注文方法はとてもシンプルで、変わっていなければ基本は『並・大盛り・特盛』の3種類だけだと思います(最近増えつつある牛丼以外のメニューの話は一旦横に置いておくことにします)。
また多くの方がお世話になっておるかと思います、いわゆるファストファッションのお洋服選びもとても簡単で、基本的には展示されている服を試着してサイズ確認して価格的にOKでありましたら即購入という流れとなっていることと思います(会計すら自分でできるお店もありますよね)。
勿論それは仕組みも提供されるものもしっかり考えられており、妥当性もあるからという前提が付きつつも、購入者側は商品に対してYES/NOだけの話で、極論提供する側と提供される側のコミュニケーション手段は決まった商品以外にはないとも言えます。
最近お客様からお伺いしました他社様の『仕様決めの回数』について、ちょっと思うところがあっての今回のBLOGであるのですが、上記の飲食店や服飾店に代表されるようなシンプルな考え方で物事を決める場合というのは、提供者側は購入者側が色々な決めごとをなるべく簡単にできるように設計するというのは鉄則だと思います(それは物事をシンプルにするという部分でとても良いことだと思います)。
しかしながら、家づくりに対して極端に簡素化された仕様決めと言うのは良くも悪くも『それって注文住宅なのかな?』と思ったりします。
勿論長い打合せが必ずしも良い家になることを保証するものではないと思いますが、それでも家の仕様打合せ回数が3回とか1回とか聞きますと、本当に大丈夫かな?と思ったりです(しかも1回の打合せ時間が極端に長いとも聞きます)。
学校の授業時間も、基本的に人間が集中できる時間の限度付近の長さで決められていると聞いたことがあります、つまり建築会社都合の打合せ回数内で仕様を全て確定する為に1回の打合せを3時間とか下手したら6時間とかかけて一度に詰め込んでも、とてもではありませんが思い通りの家になっているということにはなりにくいのではないかと思います。
またまた僕が男でありますのでスーツで例えさせて頂きますと、生地選び、採寸、ディテールの打合せ、場合によっては数回に及ぶ仮縫いなど大変多くのプロセスと購入者・提供者のやり取りを経て1着のスーツになる訳で(スーツ作りには実際はもっと多いプロセスがあるのかもしれませんが)、しかもそこに合わせるシャツ、ネクタイ、チーフ、靴下、ベルト、そして大切な靴と考えていって1人前ひと揃えの出来あがりになってきます。
ですので、スーツをそれなりにキチンと着るという行為においても大変多くのコミュニケーションが必要で、なるべく細かく細かく確認をしていった方がやはり、出来上がったスーツに袖を通した時に体にシッカリとフィットし動きやすく快適な一着になるものだと思います。また必要な部分でキチンとした説明、確認、すり合わせこそが大切にすべきものだと考えております。
家づくりにおいても同じでなるべく多くのお話しをさせて頂き、細かい部分までキチンとご意向が反映された家こそ、やはり『我が家』と言うに相応しい家になることが多いと信じて止まない僕です(勿論そこにプロフェッショナルとしての提案はあって然るべきであることは言うまでもありませんが)。
お施主様におかれましては決めごとが多く大変な部分もあるかと思いますが、折角一生に一度の家づくりをされる機会に恵まれるという幸運を手にされておられるのでありましたら、なるべく丁寧なプロセスのある家づくりが良いし必要なことではないかと考える次第です。
やはり大切なことは、プロセスまで含めた丁寧な家づくりであることとお施主様の納得感だと考えております次第です。
三重県で注文住宅を建てるリビングモチーフキキです。