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ペットファーストな家づくり計画 ~犬・猫と快適に暮らすための動線&素材選び~

公開日:2024/12/28(土) 更新日:2024/12/27(金) 家づくりコラム

「家」は、人間にとって安らぎの空間であると同時に、家族として暮らすペットにとっても大切な生活環境です。

特に犬や猫は、日常のほとんどを室内で過ごすことが多く、その環境が健康や行動、ストレスレベルにも大きな影響を与えます。

近年は、ペットを「飼う」から「ともに暮らす」へと意識が変化し、住宅づくりにおいても「ペットファースト」の発想が求められています。

 

この記事では、犬・猫と暮らす際の動線計画や、床材・壁材などの素材選び、そして設備面や安全性確保のポイントについて詳しく解説していきます。

愛するペットとの暮らしを、より豊かで快適なものにするためのヒントを、ぜひ参考にしてみてください。

 

ペットファーストの考え方って?

 

人間主体から「共存」へ

従来、住宅計画は「人間を中心」に考えられることが多かったかもしれません。

しかし現在は、ペットも家族の一員として位置づけ、「ペットも快適に過ごせること」を前提とした家づくりも注目が集まっています。

ペットは言葉で文句を言わないものの、住環境が不適切だとストレスを感じ、健康トラブルの原因になりかねません。ペットがのびのびと暮らせる導線や、身体的・精神的に快適な素材と環境づくりは、結果として飼い主にとっても満足度の高い暮らしをもたらします。

 

ペットの習性・行動特性を理解する

ペットファーストな計画を練るうえでは、愛犬・愛猫の習性や行動特性を理解することが大切です。

  • 犬の場合:散歩後に足を拭く動線や、水飲み場へアクセスしやすい位置関係、外を眺められる窓際のスペースなどが喜ばれることがあります。社交的な犬はリビング中心に動き回る傾向が強く、一方、慎重な犬は隠れ家のような落ち着けるスペースを求めることも。
  • 猫の場合:高い場所に登りたがる習性や、狭い隙間に入り込む好奇心を考慮した上下方向の動線、外の気配を感じられる窓辺の確保、爪とぎしやすい素材の配置などが喜ばれます。怖がりの猫は人目につきにくい隅や、別室で落ち着けるスペースを好むことも少なくありません。

こういった特性を踏まえ、ペットがストレスなく動ける環境づくりが”ペットファースト”のお家づくりです。

 


動線計画のポイント

ペットも人も心地よいレイアウト

1. ペットの生活エリアを明確にする

犬や猫が主に過ごす場所を特定し、その周辺環境を整えることが重要です。リビングがペットの主な生活エリアなら、散歩から帰った際に玄関から直接、足洗いスペースやペット用のタオル収納場所を経由してリビングに入れるようなスムーズな動線を計画します。

 

2. スムーズなアクセス動線
  • :散歩後に足を拭く、シャンプーをするなどのケアがしやすいよう、玄関近くにペット用シンクを設けると便利です。そのままリビングやペット専用コーナーへ移動できる導線があれば、汚れや水滴が家中に広がるのを防げます。
  • :トイレや餌場は、猫が落ち着いて使えるよう、人の通行が頻繁でない静かな場所に配置しましょう。また、上下移動を好むため、キャットウォークやステップを廊下やリビングに設置すると、猫にとって魅力的な移動ルートが生まれます。

 

3. 家族同士の衝突を避ける動線

ペットや人間がお互いにスムーズに行き来できる動線は、家族みんなが快適に過ごす鍵となります。例えばキッチンやリビングへの最短経路は確保しつつ、ペットが急に飛び出して家事を妨げることがないような工夫、脱走防止のためのゲートやスライドドアの配置も有効です。

 


素材選びのポイント

丈夫で掃除しやすく、ペットに優しい

1. 床材:滑りにくく、傷が目立ちにくい素材

犬や猫はフローリングが滑りやすいと関節に負担がかかり、特に高齢ペットではケガのリスクも高まります。滑り止め加工が施されたフローリングや、ペット用クッションフロア、コルク材など、ペットの足腰に優しい素材もあります。また、引っかき傷が目立ちにくい素材を選べば、インテリアの美観を長く保てます。

 

2. 壁材・内装:爪とぎ対策と汚れ対策

猫は爪とぎを好み、犬も場合によっては壁を引っ掻くことがあります。爪とぎに強いクロス(壁紙)や、消臭・抗菌機能をもった壁材を選ぶことで、ニオイ対策や傷対策に有効です。特にペット用クロスは消臭効果やひっかき傷に強いコーティングが施されていることが多く、快適な空気環境を保つ助けになります。

 

3. 汚れ・ニオイ対策がしやすい素材

ペットがいると、毛やヨダレ、抜け毛、時には粗相(トイレトラブル)など、汚れの原因が増えがちです。撥水性(はっすいせい)のある床材、表面がツルンとして拭き取りやすい壁材や、ペット専用塗料を用いれば、定期的な掃除が負担になりにくくなります。

 

室内環境・設備の工夫

快適な空気とプライベート空間

1. 空気循環と換気設備

ペットの抜け毛やニオイ対策には、こまめな換気が欠かせません。24時間換気システムや、高性能フィルター付きの空気清浄機を導入すれば、室内の空気を常にクリーンに保てます。特に猫はニオイに敏感なことが多く、清潔な空気環境がストレス軽減につながります。

 

2. 温度・湿度管理

犬や猫は人間以上に温度や湿度の影響を受けやすい生き物です。床暖房はペットにとっても快適な暖かさを提供できますし、夏場はエアコンやサーキュレーターで快適な室温をキープしましょう。また、直射日光が過度に入る場所には、ペットが涼める陰を作るなどの工夫が求められます。

 

3. ペット専用スペースの確保

リビングにペット用のクッションやベッドを設置するだけでなく、落ち着いて休める「隠れ家」的な場所を用意することも大切です。特に猫は、静かな部屋の片隅やカーテン裏など、自分だけの居場所を求めることが多いもの。犬の場合も、小型犬は安心できるクレート(※4)やドーム型ベッド、大型犬は広めのスペースがあると安心して休めます。

 

 


安全性への配慮

脱走・誤食・ケガ防止

1. 脱走防止策

猫や小型犬の場合、玄関ドアを開けた瞬間に飛び出してしまうリスクがあります。二重扉(風除室のような小さな前室)を設けたり、ペット用ゲートを設置したりすることで、外への脱走を防ぎ、安全性を高められます。

 

2. 家具・インテリアの配置

ペットが棚やテーブルを倒したり、コードを噛んだりしないよう、家具配置やコード処理にも気を配りましょう。電気コードをカバーで保護したり、壊れやすい物をペットの届かない高さに置いたりといった配慮が必要です。

 

3. 庭やバルコニーの安全確保

屋外へ出られる環境がある場合、フェンスの高さや隙間、飛び越え防止策に注意します。猫が簡単に飛び出せないようなネットや格子を設置したり、犬が飛び出せない十分な高さのフェンスを用意したりしましょう。庭に植える植物も、ペットに有毒なものは避けるなどの注意が求められます。

 

流行りより「本当に必要なもの」を

近年は、ペット関連の設備やアイデアが豊富に提案されています。キャットウォークやペット専用洗い場、足洗いマット付きの玄関、フローリングの代わりにペット対応タイルやクッションフロアなど、選択肢は増え続けています。

しかし、本当に大切なのは「ご自宅のペットの性格・習性」「家族のライフスタイル」「予算」のバランスをとることです。

 

どれだけ流行りの設備を取り入れても、ペットが使わなかったり、飼い主が掃除やメンテナンスに追われてストレスを感じるようでは本末転倒です。

必要性やメリットをしっかり吟味し、ペットと飼い主がともに快適な暮らしを送るための設備や素材選びが求められます。

 


ペットと人間が幸せに共生する住まい

ペットがストレスなく動き回れ、健康的な生活を送るための環境を整える。そしてそれは同時に、人間にとっても快適で手入れしやすく、心地よい空間づくりにつながります。

 

  • 動線計画:ペットの生活エリアを意識し、トイレや食事スペース、休息スペースへスムーズにアクセスできるルートを考え、汚れやニオイの広がりを軽減する工夫をする。
  • 素材選び:ペットに優しい床材や壁材を選び、掃除しやすく、汚れやニオイ対策を施すことで、家全体の美観と清潔感を保つ。
  • 設備と安全性:空気や温度を管理し、落ち着ける隠れ家を用意する。脱走や誤食防止、家具の配置にも配慮し、安全で安心な暮らしをサポートする。
  • 本当に必要なものを選ぶ:流行りや他人の事例に左右されず、自分のペットに合った最適解を見つけることが大切。

 

ペットが快適に暮らせる家は、人間にとっても居心地の良い空間であることが多く、そこには温かなコミュニケーションが自然と生まれます。

家づくりのプロセスでペットファーストな視点を取り入れ、家族全員が心からくつろげる空間を実現してみてください。

結果として、ペットと人が互いに幸せを感じられる「本当の共生住宅」が生まれるはずです。

 

これらのアイデアを取り入れ、ご自身のペットやご家族にとって最適な住まいづくりへのヒントになれば幸いです。

 

  


 

三重県で注文住宅を建てるリビングモチーフキキです。

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